コラム

 公開日: 2013-07-19  最終更新日: 2014-07-18

建築とエネルギーを考えよう 6

前回の「その5」の続きです。
本日も堅いお話しですが、「住宅とエネルギーについて真面目に考えてみよう」シリーズの6回目です。

昨日は、断熱材の性能と厚みを向上させるほど、窓から逃げる熱の割合が多くなるというお話しで終わりました。
たった1割の面積の窓から、3割も4割も熱が逃げたらたまりません。

もし、穴の空いているバケツに水をためるなら…
  1.蛇口を多くひねり、漏れる量より入れる量をガンガン増やす
  2.穴を塞ぐ
あなたならどちらですか?

もし、着るなら…
  1.普通のジャージの上下
  2.バカ殿のコントの様にお尻がぽっかり空いたスキーウエアの上下
どっちが暖かいですか?


というわけで、窓の断熱性を強化するお話しです。

静岡みたいな日本屈指の温暖な地域では、予算的に無理してまで、そこまで必要ないかも…。
これは大震災前のお話し。
震災後、電力抑制下で、もっともっとエコに暮らそう、そう思えば窓を何とかするしかない、
と思いました。

そこでこれ。



樹脂サッシの断面サンプルです。
サッシと言えばアルミサッシですが、アルミニウムは熱伝導率がとても高い、つまりとっても熱を伝えやすいのです。

ガラスをペアガラスや熱を通しにくい、Low-Eガラスにしても、アルミから熱が逃げるので、アルミニウムの部分を全て樹脂(PVC:ポリ塩化ビニル)にしたものが樹脂サッシです。

さらにガラスはペアガラスではなくトリプルガラス。
つまり、三枚のガラスの間に、二層の空気層。
そしてこの空気層には、通常の乾燥空気よりも、より熱を伝えにくい性質があるアルゴンガスが封入されています。

どんなものでもそうですが、メリットとデメリットがあり、アルミサッシに比べると、
●輸入品(大多数は)で日本の規格に合わない
●紫外線劣化の心配
●高い
●色が限られ(圧倒的に白が多い)意匠が限定される
というのがあります。

ですが、樹脂の熱伝導率(熱の伝わりやすさ)は桁違い。
アルミの200に対し、樹脂サッシのPVCは0.17、1,000倍以上の差があります。

製品の断熱性能を表す熱貫流率U値を比較しても、3倍の開きがあります。
つまり、
熱の逃げる量に三倍の違いがあるということです。
(※U値:壁の両側の空気温度に1°の差があるときに単位時間あたりに壁1㎡を通過する熱量)

震災後、出来るだけ電気に頼らない暮らし、本当の意味での【省エネ】を考える時、温暖な静岡でも、こういったモノを使わなければならないのではないかと考えました。

耐久性に関しては、メーカーの曝露試験データは見てますが、何十年も使われ続けた現物を自分の目で確かめていませんので、それに関しては今後何としても突き詰めて行きたいと思っています。
ただ、北海道やアラスカでの採用実績を見ると、劣化に関してさほど神経質にならなくても良いのか?
…と思っています。

あとは値段。
これに関しては、交渉を重ね、何とか従来の内部枠に樹脂を組み合わせたアルミペアLow-Eガラスと、ほぼ変わらない値段で使える様になりました。


そこで、このシリーズで最初に検証した実際のお宅(シリーズその1のA邸)で、
「もしもサッシがトリプルガラス樹脂サッシだったら」
を見てみると…、

住宅の外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)の総和を計算したところ、
3割削減出来ることが計算で求められました。

同じく計算でシミュレーションをすると、この熱損失量が3割削減出来た場合、年間の冷暖房エネルギーは、4割削減が出来ることが分かります。
それだけ家計に優しくなります。


その2で書きましたが、このA邸でのエネルギー収支は、平均的な家庭の2/3になっていました。

その3で書きましたが、一般的に家庭のエネルギーの1/4は冷暖房に使われています。

その2より、A邸での一次エネルギーは66.4Gj(ギガジュール)でした。
仮に、上記の樹脂サッシで、冷暖房エネルギーを4割削減すると、
66.4Gj×25%(冷暖房分)×4割=6.6Gj、樹脂サッシでエネルギーを削減出来ます。

静岡での三人暮らし世帯の平均一次エネルギーは、98.5Gj。
樹脂サッシでシミュレーションしたA邸(三人暮)は、59.8Gj(66.4-6.6)

シミュレーション前の実測値である、平均より33%削減から、39%削減になりました。
平均より約4割削減です。

目標の平均の半分(四半世紀前と同じエネルギー)までもう少し…
だから、このシリーズも、もう少し続きます。


最後に、今回ご紹介した樹脂サッシの「オーニング」と呼ばれる種類の開閉の様子です。
防犯の配慮もなかなかですね。



オーニングは、上側の軸をもとに回転して開きます。
ちょうどこれを横にした形、右か左を軸にドアの様に回転して開くのをケースメントと言います。


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