コラム

 公開日: 2015-04-21  最終更新日: 2015-04-27

事業承継における「資産の承継」

事業承継を行う際の承継すべきものとして、これまでに「目に見えにくい経営資源の承継」と「ヒトの承継」の2つを紹介しましたが、残る「資産の承継」にスポットを当ててみましょう。

株式や経営者が会社に貸し付けている事業用資産、役員からの貸付金等の資金は、イザ相続という時には相続財産にもなりますので、相続税との絡みを確認しておきましょう。

経営している会社の株式は、上場していなければ非上場株式として相続税の財産評価基本通達によって評価されることになります。

この財産評価基本通達による株式評価を説明すると、とても難しい内容となってしまいますので今回は説明しませんが、以前のコラムで説明した「清算貸借対照表」を使った純資産価額と、上場している類似業種の株価を加味した金額が株価として算定されます。

この方式で算定される株価は、あくまでも相続税や贈与税の計算の元となるというだけですから、実際のM&A等で売買される場合の評価額ではありませんが、せめて純資産価額くらいは把握しておきたいものです。

株式以外で、会社に貸し付けている事業用資産、例えば会社の敷地や建物といったものを個人が所有している場合には、事業を承継する人に財産を渡さないと、会社の存続が危うくなりますので、生前贈与や遺言書によって承継できるようにしておく必要があります。

更に、役員からの貸付金については、その取扱い方法は税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

役員から会社に貸し付けてある金銭は、当然ながら相続税の課税対象となりますので、貸付金をどのように処理するのかが重要です。

例えば、ここ数年赤字が続き繰越欠損金が役員からの借入金以上に膨らんでおり、尚且つ時価ベースに直した清算貸借対照表においても債務超過であることが明らかならば、役員が貸し付けている金銭を債権放棄してもらうことを検討した方が良いかもしれません。

役員が債権放棄するということは、会社は債務免除を受けたことになり、債務免除益を計上しなければなりませんが、繰越欠損金の方が沢山あれば法人税の納付義務は発生しません。

尚且つ、時価ベースに直した清算貸借対照表において債務超過の株式であれば、相続税法上の株式評価は0円となりますので、その他の株主に対する「みなし贈与」の規定が適用される可能性も無いかもしれません。

このような対策は、個々の会社の財務状況を良く知った顧問税理士でないと適正な処理が出来ません。

従って、ご自身の経営されている会社が今回説明した事例に該当するからといって、すぐに行動に移さずに、必ず税法の規定に引っ掛からないことを税理士等に確認した上で、行っていただきたいと思います。

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