コラム

2015-05-13

おしどり贈与(夫婦間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除制度)

長年連れ添った夫婦間で、居住用の不動産或いは居住用の不動産を取得するための金銭を贈与した場合には、暦年課税贈与の体系の一つとして税制上の優遇措置があります。

この制度を「おしどり贈与」と呼ぶこともありますので、覚えておいて下さい。

この特例は、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合に、贈与税の基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで特別に控除することが出来るという制度です。

従って、最高2,110万までは贈与税を納税することなく、配偶者に贈与することが出来るのです。

この特例を受ける要件は次の3つです。
(1) 婚姻期間が20年を過ぎた後の贈与であること
(2) 配偶者からの贈与財産が、①自分が住むための国内の居住用不動産、②居住用不動産を取得するための金銭 のいずれかであること
(3) 翌年の3月15日までに、上記(2)の贈与により取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

そして、次の書類を添付して、翌年の3月15日までに贈与税の申告をすることが必要となります。
(1) 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
(2) 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3) 居住用不動産の登記事項証明書
(4) 当該居住用不動産に住んだ日以後に作成された住民票の写し
 (戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要)
※金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。

おしどり贈与に関連する相続税の制度

この制度を受ければ2,000万の財産が非課税で配偶者に贈与できるのですから、長年連れ添った仲の良いご夫婦であれば利用するのも良いと思いますが、相続税法上の他の制度も知った上で対応して頂きたいと思います。

相続税法上の他の制度とは、相続税における配偶者の税額軽減と、小規模宅地の特例の制度のことです。

配偶者の税額軽減とは、①配偶者が取得した財産が1億6千万以下である場合、若しくは②課税価格の配偶者の法定相続割合相当額以下を配偶者が取得した場合には、配偶者には相続税は掛からないというものです。

また、小規模宅地の特例とは、居住用宅地については330㎡までは評価額の8割を課税対象額から減額できるというものです。

つまり、相続税が課される時に既に居住用宅地を配偶者に贈与してあれば、小規模宅地の特例の制度を使えなくなる可能性もあるということを承知しておいて欲しいと思います。

相続税法上のこれらの特例については、いずれコラムで説明したいのですが、説明が長くなってしまいますので、現在作成中である相続専門のホームページへの掲載も考えています。

おしどり贈与制度を使った場合の指摘事項

このような税務上の問題も考えなければいけないのですが、それよりも前に夫婦間の問題を改めて見つめ直して下さい。

現役世代の時は、ご主人は仕事で日中は居ないし、奥様も子供から手が離れ自分のペースで過ごせていたのが、ご主人が定年後に一日中家の中に居て毎日顔を突き合わせていれば、奥様が自分のペースで日常を過ごせなくなってくるものです。

他の人たちから「おしどり夫婦」だと持ち上げられていたとしても、このような奥様の変化に気が付かずに、そのまま熟年離婚などという事態になってしまう可能性が全くないとは言い切れないと思います。

もし、このおしどり贈与を使って配偶者に贈与を行った後で、離婚問題が勃発したら目も当てられない状況になってしまいませんか?

最悪、ご主人の住む家が無くなってしまうかもしれないのですよ。

最後まで寄り添えば、相続税法上の配偶者優遇規定や小規模宅地の特例の制度が使えるのであれば、早々に対応しなくても良いのではないかと思うようになりませんか?

実際に、この制度を利用した方が良いのかどうかは、各々の相続財産額や推定相続人との関係、財産所有内容等を総合的に勘案しないと判断できるものではありませんから、「おしどり贈与」を行った方が良いですよとか、止めた方が賢明ですよといったアドバイスは安直には言えません。

第三者である税理士が、夫婦間相互の信頼関係などを判断できるわけではありませんので、貴方自身が判断するしかないのです。

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