コラム

 公開日: 2015-05-18 

教育資金の一括贈与の特例の持つ意味

暦年課税の贈与の中で、近年創設された教育資金の一括贈与の特例に関して、私自身は政府が何故この特例を創ったのか、その意図というものが判然としません。

贈与税は、贈与者から受贈者に対して財産(現預金・土地・建物・株式等の財産)が渡されたことに対して課されるのですが、渡された資金の使途によっては贈与税が課されないことになっていることをご存知ですか?

贈与税が課税されない教育費の贈与

税法では、「扶養義務者」相互間で「生活費」又は「教育費」に充てるための贈与で取得した財産のうち、通常必要と認められる部分の金額については、贈与税を非課税にすることとしているのです(相続税法21条の3)。

この場合の「扶養義務者」とは、配偶者および民法第877条に規定する親族とされており、基本通達(行政解釈)では、生計を一にしている三親等内の親族であれば、家庭裁判所の審判がなくても扶養義務者に含めることができるはずなのです。

つまり、生活費または教育費の贈与が非課税とされる扶養義務者とは、①配偶者、②直系血族、③兄弟姉妹、④生計を一にしている3親等内の親族、ということになります。

従って、祖父母が孫の学費を負担した場合、祖父母と孫は直系血族の関係にあるのですから、たとえ生計が別であっても贈与税は非課税とされるわけです。

贈与税がかからない場合について、国税庁のホームページで10種類の非課税項目を掲げていますが、「生活費」又は「教育費」については次のリンク先の2番目に記載されていますので、ご確認ください。(教育資金の一括贈与に関する非課税はリンク先の10番目に記載されています。)

国税庁ホームページ : 贈与税がかからない場合

つまり、教育費に関しては贈与しても贈与税が課税されないにもかかわらず、このような制度を創設したのです。

このような非課税の規定があるのに、わざわざ一括贈与の特例を創ったのですから、税法を知る者にとっては首を横に傾げてしまうことなのです。

この制度に関する個人的見解

現在、現役世代の家庭が教育費用に廻している率は、大学生2人がいる家庭では可処分所得の44%もの非常に高い負担率となっており、私立の医大などに進学すれば家が傾いてしまうような巨額の負担が待ち構えています。

このような多額の負担について、祖父母が早々にまとまった教育資金を贈与してやることで、父母の教育関係に費やす費用負担が減少することが期待されるはずです。

家計を逼迫(ひっぱく)していた教育費を軽減してやることで、多少でも浮いたお金を消費活動に廻して欲しいという思惑があるのではないかと推測できませんか?

要は、景気刺激策の一環としての教育資金の一括贈与の特例ではないのかということなのです。

この教育資金の一括非課税贈与は、教育資金管理契約終了の日までに贈与者が死亡した場合には、相続開始前3 年以内のものであっても相続財産への加算の対象としないこととされますので、その点は評価すべきものだと考えます。

ここでいう相続開始前3 年以内の贈与というのは別の機会に説明しますが、簡単に言えばお亡くなりになる前の3年以内に贈与したものは、贈与が無かったものとして相続財産に取り込まなければならないというものです。

私自身が贈与する側であれば、金融機関に手数料を払ってまで取る対策なのかどうかは疑問が残りますので、必要な教育費を必要な時に必要なだけ渡せば十分ではないのかと考えます。

贈与というのは、贈られた人から「ありがとう」という言葉を何回も聴けた方が、贈った人も気分が良いものだと思うのは私だけでしょうか?

どちらの手法を取るのかは貴方の判断にお任せします。

--------------------------------------------
   増田哲士税理士事務所
   〒439-0006 菊川市堀之内453-3
        TEL 0537-35-2772
  オフィシャルホームページ
  相続専門Facebookページ
--------------------------------------------

この記事を書いたプロ

増田哲士税理士事務所 [ホームページ]

税理士 増田哲士

静岡県菊川市堀之内453-3 [地図]
TEL:0537-35-2772

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
セミナー・イベント
相続の広場

第二次大戦後に日本国憲法が改正されたのに伴い、民法が改正される以前には遺言という制度が法律上はありませんでしたが、前回説明したとおり日本に遺言という慣習が無...

 
このプロの紹介記事
増田哲士税理士事務所・増田哲士さん

経営に関する「お金の予防法」で企業存続を支える(1/3)

 先代の創業以来40年近く、静岡県菊川市を中心に中東遠地域の税務業務を手掛ける増田哲士税理士事務所。その代表を務める増田哲士さんは、税理士の使命として「企業経営の支援に必要なのは、節税対策よりも事業を永続的なものにするための対策です」とおっ...

増田哲士プロに相談してみよう!

静岡新聞社 マイベストプロ

次世代に思いを繋げる為の税金に捉われない多角的提案

会社名 : 増田哲士税理士事務所
住所 : 静岡県菊川市堀之内453-3 [地図]
TEL : 0537-35-2772

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

0537-35-2772

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

増田哲士(ますだてつし)

増田哲士税理士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
養子縁組に関する相続税節税対策の注意点

当事務所に寄せられた相続に関する相談の一つをご紹介いたします。その相談は、「養子縁組を考えているのです...

[ 相続 対策 ]

生前贈与(暦年贈与の仕組み)
イメージ

贈与税とは、暦年課税方式或いは相続時精算課税方式により、1月1日から12月31日までの1年間に財産を受け取った人...

[ 相続 贈与 ]

アパート経営による節税対策の注意点

ご自宅以外に土地を所有している方で、「アパート経営すれば相続税対策になりますよ!」という決まり文句で、ディ...

[ 相続 対策 ]

土地の評価はどうするの?

税務署から届いた「相続税の申告等についてのご案内」という文書が入った封筒の中の、「相続税の申告のためのチェ...

[ 相続 土地 ]

税務署から相続税の申告についての案内文書が届いた!?

「父親が亡くなって五か月ほど経った頃に、税務署から「相続税の申告等についてのご案内」という文書が入った封筒...

[ 相続税 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ