コラム

 公開日: 2015-05-26  最終更新日: 2015-05-29

相続時精算課税制度に適した財産

相続時精算課税制度というのは、贈与を行った時の価額で相続税計算時の財産に取り込むというものです。

従って、これから先の数年或いは数十年の間に価額が下がらない資産こそが相続時精算課税制度に適した財産であると云えます。

しかし、資産の価値が将来増えるのか減ってしまうのかは現時点では判断出来ないことであり、将来も価額が変わらない資産といえば、現預金程度しかありません。

既に多くの方が、この相続時精算課税制度を利用しているのですが、住宅取得用の現預金を贈与している方が非常に多いように思われます。現預金であれば、たとえインフレ或いはデフレになっても相続財産として取り込む評価額は変わりませんから、大きな問題はないのかもしれませんが・・・

資産の価値が将来確実に増える財産というものを探すのは難しいですが、贈与した資産を受贈者が有効活用して資産価値を増やす努力が出来るものが、この相続時精算課税制度に最も適した財産と言えるのではないのでしょうか。

そのような視点に立つと、会社経営者が所有している自社の株式を、会社を承継してくれる次世代の方に贈与するというのは如何でしょうか?

引き継いだ会社を健全に運営・管理することが出来れば、相続時精算課税制度によって受贈した時よりも、株価そのものの価値を上げることが出来ますし、受贈者の経営意識というものを前向きに変えることが出来るのではないかと考えます。

また、会社の業績が上向けば、会社から受け取る役員報酬額を増額できるようになりますので、本人にとって大きなインセンティブ(モチベーションを誘引するもの)となるはずです。

会社は経営されていないものの、アパート経営等により収益を生み出す資産を所有されている方も、同じような効果が期待されます。

しかし、会社経営でもアパート経営でも、株式や賃貸物件を受贈された方は経営者としての道を歩み始めることになるのですから、経営者としての判断の重要性をしっかりと判ってくれそうな人間かどうかを見極めて贈与することが肝心です。

単に、周囲の人から「社長」としてちやほやされるのを喜んでいる人や、会社の接待交際費を使って飲食やゴルフを楽しむような「社用族」を楽しもうという人間には、経営者は向いていません。

また、経営を第三者に任せてしまうような「サブリース契約」で、賃貸アパートの管理・運営に真摯な態度で取り組もうとしない人や、不動産収入を遊興費に廻してしまうような大家さんになりそうな人にも、このような制度を使った贈与はしない方が良いのではないかと思います。

事業者・経営者として、事業体(会社)という「生き物」を如何に繁栄させ、永く生き永らえさせるかを真摯に取り組むことが出来る人に、株式或いは賃貸財産という経営資源を贈与していくのが正攻法だと思います。

なお、事業承継者に相続時精算課税制度を使って株式を贈与することについても、他の相続人達との関係が悪くならないようにしっかりと事前準備をしてください。

但し、株式の贈与については、財産評価基本通達によって計算された株式価額を元に受贈額を把握しますので、ご自身では対応するのは難しいと思いますので、税理士に依頼してください。

会社の株式については、事業承継円滑化法という法律に従って贈与や相続をすれば、贈与税や相続税が猶予される制度もあります。

どのような方法によって次世代に株式を承継させるのかは、事案毎にじっくりと考えてみなければ結論は出せませんが、相続時精算課税制度という選択肢も頭の中に入れておいて下さい。

--------------------------------------------
   増田哲士税理士事務所
   〒439-0006 菊川市堀之内453-3
        TEL 0537-35-2772
  オフィシャルホームページ
  相続専門Facebookページ
--------------------------------------------

この記事を書いたプロ

増田哲士税理士事務所 [ホームページ]

税理士 増田哲士

静岡県菊川市堀之内453-3 [地図]
TEL:0537-35-2772

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

1

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
セミナー・イベント
相続の広場

第二次大戦後に日本国憲法が改正されたのに伴い、民法が改正される以前には遺言という制度が法律上はありませんでしたが、前回説明したとおり日本に遺言という慣習が無...

 
このプロの紹介記事
増田哲士税理士事務所・増田哲士さん

経営に関する「お金の予防法」で企業存続を支える(1/3)

 先代の創業以来40年近く、静岡県菊川市を中心に中東遠地域の税務業務を手掛ける増田哲士税理士事務所。その代表を務める増田哲士さんは、税理士の使命として「企業経営の支援に必要なのは、節税対策よりも事業を永続的なものにするための対策です」とおっ...

増田哲士プロに相談してみよう!

静岡新聞社 マイベストプロ

次世代に思いを繋げる為の税金に捉われない多角的提案

会社名 : 増田哲士税理士事務所
住所 : 静岡県菊川市堀之内453-3 [地図]
TEL : 0537-35-2772

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

0537-35-2772

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

増田哲士(ますだてつし)

増田哲士税理士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
養子縁組に関する相続税節税対策の注意点

当事務所に寄せられた相続に関する相談の一つをご紹介いたします。その相談は、「養子縁組を考えているのです...

[ 相続 対策 ]

生前贈与(暦年贈与の仕組み)
イメージ

贈与税とは、暦年課税方式或いは相続時精算課税方式により、1月1日から12月31日までの1年間に財産を受け取った人...

[ 相続 贈与 ]

アパート経営による節税対策の注意点

ご自宅以外に土地を所有している方で、「アパート経営すれば相続税対策になりますよ!」という決まり文句で、ディ...

[ 相続 対策 ]

土地の評価はどうするの?

税務署から届いた「相続税の申告等についてのご案内」という文書が入った封筒の中の、「相続税の申告のためのチェ...

[ 相続 土地 ]

税務署から相続税の申告についての案内文書が届いた!?

「父親が亡くなって五か月ほど経った頃に、税務署から「相続税の申告等についてのご案内」という文書が入った封筒...

[ 相続税 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ