コラム

 公開日: 2015-05-28 

贈与と特別受益

生前に贈与をすれば、以前紹介した非課税扱いとなっている場合以外は、贈与税の課税対象となるのはご理解いただけたと思います。

しかし、たとえ税法上で非課税扱いとなっている贈与でも、民法上では相続時には「特別受益」という扱いがなされますので覚えておいて下さい。

特別受益とは

相続人が複数人いらっしゃる場合、特定の相続人が被相続人から生前に財産の提供(贈与)を受けていることがありますが、この「生前に受けていた財産」つまり「贈与された財産」のことを「特別受益」といいます。

相続時点において特別受益として認定されるものとしては、以下のような財産の受益が考えられます。
①遺言書によって相続人が取得した財産
②婚姻や養子縁組の際に受けた財産
(嫁入り道具、持参金、新居等)
③生計の資本として受けた財産
(学費、留学費用、開業時の援助資金、居住用不動産の購入費、事業承継株式等)

①の遺言書によって取得した財産には相続税が課されますので、贈与税の問題は発生しません。

②の婚姻や養子縁組の際に受けた財産のうち、新居を親が建ててやっても登記を親の名義にしておけば贈与税は課されませんし、相続時には建物の評価額で相続税の課税対象となります。

但し、所有者を子供の名義にすれば、間違いなく贈与税の申告の必要が出てきますので、住宅資金の贈与の特例等を使うことを検討して下さい。

また、持参金や嫁入り道具は年間110万以内の金額であれば贈与税が課される心配はありませんが、110万を超えていれば課される可能性もあります。

しかし、たとえ110万を超えていても持参金は日本の古(いにしえ)からの風習として認められていますので、社会通念上において常識的範囲内であれば課税される可能性は低いと考えられています。

この『社会通念上において常識的範囲内』という枠組みですが、はっきりと幾らまでとは規定していないというところが困ってしまうところです。

持参金を渡す人、渡される人の経済観念にも影響されてしまいそうですが、「社会通念」とは我が国社会で大多数に受け入れられている「暗黙の了解事項」を指していますので、貴方の良識が世間一般とかけ離れていなければ、大丈夫でしょう。

③の生計の資本として受けた財産というのが一般的な贈与のことを指しており、学費・留学費等の教育費に関しては、毎年必要額を拠出して非課税扱いとするのか、教育費の一括贈与を使うのかを検討する必要が出てきます。

特別受益の持戻し

このような特別受益に該当する財産を取得した相続人が居た場合には、遺産の分割に当たり相続人間で争いが生じた場合には、「特別受益の持戻し」が行われることになります。

つまり、被相続人がお亡くなりになった時点で所有していた財産だけでなく、過去に相続人に渡した財産についても、遺産分割対象に取り込んで遺産分割の計算をしなければならないというものです。

この持ち戻しの財産の評価額は、特別受益を受けた当時の価額ではなく、相続開始時の価額つまり時価で評価することになっていますので、争いが勃発したら財産の時価を算定するという非常に面倒な作業が待っているのです。

特別受益がある場合の相続財産の分割や、この特別受益の持ち戻しを免除してもらう方法等については、改めて特別受益の説明をする際にさせて頂きたいと思います。

要は、争いにならなければ特別受益という用語についての知識は不要となるわけですから、贈与をする際には、後々の相続人同士の人間関係まで気を遣った対応が必要だということを改めて説明したかったのです。

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