コラム

 公開日: 2015-05-29 

贈与は契約です

ここまで、贈与について何回かに分けて説明したものの、肝心な民法の取扱いについて説明できていなかったので、贈与という法律行為について説明します。

贈与と遺贈は、法律上有効とされるための要件において大きな違いがあります。
(遺贈については、まだ説明出来ていない部分ではありますが、遺贈というのは、遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいます。)

民法(第549条)では、贈与は『当事者の一方が自己の財産を無償にて相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって成立する』と規定しており、贈与は、財産を与える側(贈与者)と貰う側(受贈者)の「契約」によって成り立つものだということが確認できると思います。

従って、贈与者が財産を与えるという申し込みをしただけでは成り立たず、受贈者である相手側が貰うという意思表示を行うことで、約束(契約)がはじめて成り立つものなのです。

これに対し、遺贈は民法(第964条)では、『遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし、遺留分に関する規定に違反することができない』と規定しており、与える側の一方的な意思表示である遺言により生じることになっています。これを「単独行為」と言いますが、受遺者の意思とは無関係に成り立つことになっています。

遺贈の但し書きの部分(遺留分)については、またの機会に説明しますので、今回は贈与と遺贈の違いというものを押さえておいて下さい。

贈与の取消しについて

遺贈は一方的な意思表示によってなされたものであり、遺言者の死亡によってはじめて効力が生じてくるものです。

遺贈は遺言によるものであり、相手方の承諾が必要ありませんから贈与者が遺贈について遺言者が生きている間は取消しや変更をすることが可能となります。

これに対し、贈与は契約の一形態ですから、契約書という書面を作成して贈与を行った場合には、「原則」として撤回することができないとされています。

但し、民法550条において、『書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない』と規定しているとおり、契約書面として残していない契約、例えば口約束であれば当事者はいつでも取消しすることができるとされています。

もっとも、後段の但し書きにおいて、たとえ書面によらない贈与であっても、約束が履行された場合には取消は出来ないことを明記していますので、注意して下さい。

死因贈与という契約

贈与なのですが、遺贈と似たものとして 死因贈与 というものがあり、民法554条において、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」と規定しています。

死因贈与とは、自分が死亡したことを停止条件として、自己の財産を無償で相手方に与える意思表示を行い、相手方がこれを受諾することによって成立する「契約」です。

あくまでも契約ですから贈与者の意思表示と受贈者の承諾が必要となりますが、贈与者の死亡によって効力を生じるという点が遺贈と類似していることもあり、民法では「遺贈に関する規定を準用する」と定めているのです。

贈与と遺贈の違いについては、まだ沢山説明しなければいけないことがあるのですが、今回は「契約」と「単独行為」という点だけでも覚えてください。

税理士でも民法の知識は必修となりますが、弁護士のような専門家ではないので、更に詳しく知りたい方は弁護士にお問い合わせ下さい。

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