コラム

2015-06-04

離婚時の財産分与

遺留分の授受や限定承認についての民事と税務の取扱いを前回・前々回に行いましたが、もう一つ税務上の非常識な取扱いを説明しておきます。

それが、離婚時における財産の分与における譲渡所得課税というものです。

離婚によって相手方(元配偶者)から財産をもらった場合には、贈与税がかかることはありません。

これは、夫婦が共に築き上げた財産関係を清算するという意味合いや、離婚後の生活保障のための「財産分与請求権に基づく給付」を受けたものと考える為です。

但し、次の2つに該当する場合には贈与税がかけられることになります。
①分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
②離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合

不動産を分与すると譲渡所得税が分与した本人に!
財産分与額が上記の①或いは②であれば、受け取った側に贈与税の納税義務が生じてしまうことは常識的に考えても理解できると思います。

しかし、不動産を財産分与の対象とした場合には、常識的に考えていては理解できないような税務の取扱いがされてしまうのです。

所得税の基本通達(所基通33-1の4)では、『財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、その分与をした時の価額により当該資産を譲渡したこととなる』としているのです。

つまり、土地や家屋などを離婚時に分与したときには、分与した人が当該不動産を時価で譲渡したことと考えるために、分与した人に譲渡所得の納税義務が生じてしまうのです。

例として、10年前にマンションを2千万で購入し二人で生活していたものの、破局してしまい離婚した際に、マンションを所有していた方はそのマンションから引っ越し、相手方がそのままマンションに住み続けているので、そのマンションを相手に財産分与したというケースを考えてみましょう。

昨今の東京オリンピックに伴う開発で、2千万で購入したマンションが時価に直すと3千万に値上がりしていたと仮定しましょう。

すると、マンションから引っ越して財産分与した本人は次のような税金が課せられてしまうのです。
   (マンション時価 - 購入額 )×長期譲渡所得税率15%
   ( 3,000万   - 2,000万)× 15% = 1,500,000円

「泣きっ面にハチ」とは、正にこのようなことを言うのでしょう。
マンションを分与したばかりに、財産分与した本人は150万の国税(地方税まで入れれば200万)の税金を納めなければならなくなってしまうのです。

また、そのマンション価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額以内であると判断されれば、財産分与を受けた配偶者には何ら税金が課せられることはないのです。

このような場合には、現金として2,000万分与するか、新たにマンションを購入して分与してやるかといった対応策を取っておけば、問題は解決できるはずです。

私も税理士の端くれとして業務を行っていますが、まさに「非常識な課税」だと思います。
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