コラム

2015-06-05

内縁関係と相続

一昨日、NHKのクローズアップ現代において、「老いても恋をしたい!超高齢化社会の男女」という番組を放映していました。

税理士として、相続税という相続関連業務を行っている側でこの番組を見ると、違った角度で番組を見て取ることが出来ましたので、投稿させて頂きます。

結婚することもなく老齢者となった男性、或いは妻に先立たれた高齢の男性と、結婚して間もなく離婚して一人で子供達を育て上げた中高年の女性が、二人の利害を一致させるために共同生活を始めたというケースが取り上げられましたが、このケースを考えてみましょう。

二人の利害の一致とは、衣・食・住の内の「食」の部分に不自由を感じている男性が女性の作ってくれる食事に、金銭面に不安を感じている女性が男性の定期的に得られる年金収入をお互いに求めて、共同生活或いは再婚をするということです。

内縁関係の法的立場

民法では、「結婚するということは、どちらかの戸籍に入る」ということを意味しています。

つまり、男性或いは女性のどちらかの苗字に、どちらか一方が変えなければいけないのですが、単に共同生活をしている状態とは「内縁関係」にある状態ですので、相手方は民法上の配偶者にはなりません。

従って、どんなに仲が良くても、遺言書も遺さずにお亡くなりになってしまうと、共同生活をしている相手方には遺産を遺すことは出来なくなってしまうのです。

このような場合に相手方に財産を遺してやりたいと考えれば、遺言書を作成しておき、共同生活をしている相手方に「遺贈」する旨の記述をしておく必要があります。

遺言書をしたためておけば、お亡くなりになるご本人と共同生活者との間で問題になることはないかもしれませんが、相続人と共同生活者との間に軋轢を生む虞がありますので、注意して下さい。

男性が80歳過ぎで、相手方の女性が20歳以上も離れた年齢差であれば、たとえお二人の間で愛が芽生え、信頼関係が構築されていようとも、男性の近親者の中には、財産目当てに近づいたと憶測して非難中傷してくる者がいるかもしれないのです。

男性ご本人にとっては、「遠くの親戚より近くの他人」という言葉にあるとおり、たとえ「利害の一致」を元にした共同生活であろうとも、一緒に生活をしている人間に情が移るのは致し方ないことなのだと思います。

英語でも、「A near friend is better than a far-dwelling kinsman.(遠くに住んでいる親類より、近くにいる友人のほうがよい)」という言葉があります。

アメリカでは、遺言書を遺すことが主流であり、遺言により財産を分与する相手は身内に限らず、自らが活動していた慈善活動団体等へ寄附することもあると言います。

自らが受け継いできたDNAを守ることよりも、活動していた社会へ自らの感謝を示そうという意味合いが強いのでしょうか?

日本だけでなく海外の国でも、血の濃さよりも日常の繋がりの方が大切なのですから、血縁関係を中心とした日本の民法法典は、現状に合わなくなってきている気がするのは、私だけでしょうか?

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