コラム

 公開日: 2015-06-10 

相続人が認知症の場合にどうすれば良いの?

相続税申告の依頼を受けている事案で、近年増えているのが、相続人が認知症を患っているというケースです。

日本の高齢化率は先進諸国の中でも特に進んでおり、被相続人が高齢化するに従い相続人である配偶者や子供も高齢化が進み、相続人が意思判断能力を有しているのか怪しい場合が出てきています。

事理弁識能力とは

遺産分割の協議という民法上の法律行為を行うには、その法律行為を行う人の『事理弁識能力(じりべんしきのうりょく)』があるか・ないかという点が大切になります。

『事理弁識能力』という言葉は聞きなれない言葉ですので、説明しますと、「事理」というのは「ものごとの筋道」「道理」という意味であり、「弁識」とは「理解して判断する」「わきまえ知る」という意味であり、「能力」とは法律行為を自分自身で適切に行うための「判断能力」のことを指しているのです。

つまり、『事理弁識能力』とは、自分自身が行う法律行為の意味を理解した上で法律行為を決定・判断する能力であり、『意思能力』という言い方をすることもあります。

最近の判例(平成17年9月29日東京地裁判決(判タ1203号173頁))では、意思能力とは、「自分の行為の結果を正しく認識し、これに基づいて正しく意思決定をする精神能力をいうと解すべきであり、意思能力があるかどうかは、問題となる個々の法律行為ごとにその難易、重大性なども考慮して、行為の結果を正しく認識できていたかどうかということを中心に判断されるべきものであるとしている」と述べているとおり、医者から「認知症」という診断を受けただけでは、事理弁識能力を欠いているという安直な判断はできませんが、白黒はっきりしていないグレーゾーンであることは間違いありません。

成年後見人制度

もし、相続人が「認知症」という診断を受けたならば、成年後見制度を考えてみる必要もあるかもしれません。

法務省のホームページでは、次のように説明しています。
「成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。」

相続人の中に判断能力が十分でない方が居るようであれば、遺産分割協議という法律行為そのものが出来ない可能性もありますので、成年後見人を立てて各種法律行為を行ってもらうことで、法的にも有効な遺産分割協議が成立します。

認知症だからといって、必ず成年後見人を立てる必要があるというものではありませんが、相続人の中に自分の権利(遺留分)ばかりを主張して、将来争いが起こりそうな可能性がありそうならば、法的対策として成年後見制度を利用しておくのが良いかもしれません。

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