コラム

2015-06-25

祭祀財産の継承と葬儀関係の収入・費用

前回のコラムで説明したとおり、葬儀費用については相続税のマイナスの財産としてプラスの遺産額から控除して計算することが出来ます。

これは、民法上には記載されていない税法上の特典だということを記載しておきましたが、法律上では葬儀を始めとする祖先を祀るという特別な行いに関しては、様々な措置が施されています。

祭祀財産の承継

現行民法の第897条・第1項では、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、(略)、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」と規定しています。

ここで、「慣習に従って」という一文が入っていますが、慣習とは「長い期間を経て同意された、或いは一般に受け入れられたしきたり」を意味しています。

つまり、連綿と受け継がれてきた祖先を弔う行為に必要な財産は、墓守や法要が出来る者に承継させようということなのです。

現行民法では、他の遺産同様に祭祀財産を分割してしまうと、祖先の祭祀をするときに不都合を生じるために、このように相続財産とは別個に祭祀承継者に受け継がせるという、一般の相続財産とは異なった取扱いを受けることにしているのです。

葬儀時の香典収入に税金はかかるの?

葬儀は、お亡くなりになった方に対する最初の祭祀行事となりますので、通常多くの場合には、葬儀を主宰する「喪主」が祭祀承継者として名乗りを上げることになります。

しかし、必ずしも葬儀時の喪主が祭祀承継者となるわけではなく、その後の四十九日や一周忌等の法要を執り行う主宰者が祭祀承継者となります。

多くの場合は、喪主が祭祀継承者となって葬儀費用を負担することになりますが、葬儀費用については、既に相続税計算時には控除できる旨を述べてありますので改めて詳細な説明はしませんが、良く質問されるのが「香典(香奠と表記することもあります)」として受け取った収入についてです。

葬儀費用は数十万から数百万必要となってきますが、このような多額の費用を捻出するためには、会葬して頂いた方からの「香典(初穂料)」を充当せざるを得ないのが実情です。

実は、このような香奠は、税法上では原則として収入として申告する必要はありません。

香奠の意味

「香」の字を前置きすることで、「お香・線香」の代わりに供えるということを意味し、「奠」とは供え物、つまり現代では霊前に供える金品の意味ですから、「香典(香奠)」とは「お香を持参する代わりに用意したお金」という意味合いがあります。

また、故人に対する供物であると共に、不意の事態に遭遇した故人の家族への支援の意味があるとも言われています。

このために、現代では香典と言えば、香典袋(不祝儀袋)に現金を封入して遺族に対して手渡されていますが、本来はお香として霊前に手向ける物ですので、税法上の収入とは考えないことになっているのです。

このように、税法では葬儀に係る収入には課税しないばかりか、葬儀費用は相続税計算において控除できるようにしているのですから、如何に特別な取扱いをしているのか判りますね。

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