コラム

 公開日: 2015-07-10 

農業経営者のための事業承継

以前に、静岡県の農林事務所から「農業の経営承継」に関する講師の依頼を受けていたのですが、お引受けはしたものの、どのような内容にするのかを考えていませんでした。

本来ならば先月、レジュメを執筆する予定だったのですが、予期せぬ事態に陥りとても忙しくなってしまったので、ようやく取り掛かることが出来そうです。

レジュメ作成を始める前に、その一部をこのコラムで取り上げたいと思います。

農地の納税猶予制度

農業経営と一般事業経営における事業承継で、最も大きく違うのが「農地」の取扱いです。

国の政策によって、農地は「農地法」という法律の枠組みでの縛りがきつく、農地を宅地に転用するのにも届出が必要になってきます。

しかし、「農地法」をはじめとして、国は農業を厚く保護する政策を取ってきていますので、税法でもその保護政策の一端を垣間見ることが出来るのです。

相続税法では、贈与税と相続税において、農地を承継した場合に特別に猶予制度を設けています。

納税猶予が受けられる土地は制限がありますが、静岡県内の農地であれば大方の農地で納税猶予の対象になると思われます。

贈与税では、贈与する日まで3年以上農業をしていた個人が、同じく3年以上農業に従事した18歳以上の推定相続人が農業を継続していれば、納税猶予が受けられることになっています。

同様に相続税では、相続開始時まで農業をしていた個人が、相続税の申告期限までに相続人が農業に従事していれば、納税猶予が受けられることになっています。

猶予打ち切り
どちらの場合も、農地を売却したり農業を止めれば、納税猶予は打ち切られ、贈与税や相続税以外に猶予されていた期間に相当する利子税を納付しなければなりません。

従って、農業を承継する相続人は、他の職業に転職しようなどと考えてはいけないという事態に陥ってしまうのが、この納税猶予制度の欠点です。

納税猶予額の算定

相続税法では、農地の評価額全てが納税猶予出来るという形にはなっていません。

納税猶予の対象は、農地を「評価基本通達」で評価した評価額が、「農業投資価格」で計算した農地価額よりも高い場合に、その差額が対象となります。

そして、相続税の納税猶予額算定の基礎となる静岡県の平成27年度の農業投資価格は、10アール当たりで田が81万、畑が61万となっていますので、農地の面積に掛け合わせて頂き、農業投資価格を算定して下さい。

評価基本通達での評価は、農地が所在する場所によって評価方法が路線価方式や倍率方式という方法になりますので、指定された評価方法によって評価しなければなりません。

評価方法は、国税庁のホームページにある 「平成27年の静岡県の評価倍率表」  を参考にしてもらうと良いでしょう。

因みに、ここ数年で私が手掛けた相続税申告では、菊川市の倍率地域にある農地では、納税猶予の対象となるような農地はありませんでした。

もっと都市化の進んだ土地の評価が高い地域で、納税猶予の特例を受ける余地があるのでしょう。

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