会社の生き残り対策&争いのない相続対策のプロ
コラム
公開日: 2015-04-01 最終更新日: 2015-04-27
2種類の貸借対照表
会計学では、「going-concern concept」という「継続企業の公準」を前提として、企業の営業活動が永遠的に継続するものと仮定して理論が構築されています。
この継続企業の公準から導き出されているのが原価主義というものです。
会社が毎期作成を義務付けられている財務諸表の中に、「貸借対照表」というものがありますが、貸借対照表には土地のように価値が年々目減りしないような資産は取得額で計上することになっています。
企業業績が順調に推移しており、資産を売却する必要がなければ、土地の評価額が上下しようとも損益計算書には何ら影響を与えませんので、購入した時の価格をそのまま資産計上しているのです。
会社がその土地で永続的に継続するのであれば、土地を売却する必要はありませんから、土地の時価を表す必要はありませんが、その会社が事業継続の危機に直面していたら、どうでしょうか?
土地を売却して土地の含み益を捻出しようという判断をするかもしれませんので、この場合には時価というものが非常に重要なものになってきます。
このように、企業が継続することを前提とした「継続企業の公準」から導き出された原価主義で作成された財務諸表を作っていても、イザという時には役に立ちませんので、時価主義によって財産評価を行った清算貸借対照表(statement of affairs)を作っておくことが大切となってきます。
清算貸借対照表は、商法によって会社の解散・清算を行う際に作成が義務付けられている書類ですが、会社が事業継続中には作成を求められてはいません。しかし、作成しておけば相続や事業承継といった場面でも役に立つ資料となります。
企業が生き残るためには、企業の営業活動が永遠的に継続するものと仮定するのではなく、企業の営業活動をすぐにでも中止しなければならないという仮定に立った資料も作成しておくことをお勧めします。
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