相続の広場

日本の相続制度の変遷

日本の明治時代に制定された旧民法の下では、家督相続(かとくそうぞく)という言葉で知られていた通り「嫡出長男子単独相続の原則」が貫かれていました。

良く、時代劇等で耳にする「家督相続」という言葉ですが、その意味するところを簡単に説明させて頂きます。
家父長の男性に、家族と家族員に対する統率権が集中している家族の形態を「家父長制」といい、家族と家族員に対する統率権のことを「家長権」と言います。この家父長制における家長権のことを「家督」というのです。時代的には、鎌倉時代にこの家督を嫡子が単独相続することが原則とされたものの、室町時代には内紛によって制度そのものが確立されなかったのです。しかし、江戸時代に安定した政権が確立したことにより、幕府が統制する上での利便性向上と、儒教を武士階層へ徹底的に浸透させるために、家督の嫡子単独相続が確立するに至ったと言われています。

江戸幕府が終焉を迎えた後、政府は先進的な欧州の法律を取り込み、様々な制度を作り上げて凄まじいスピードで近代国家を作りあげたのは周知のとおりです。しかし、家制度に関しては江戸時代に武士階層において確立された封建的な「家父長的家制度」をそのまま継続し、さらに全国民が守るべき法律として制度化したのです。

明治政府が日本国という大きな組織を統制するのに、「天皇 ― 政府 ― 府県 ― 区長 ― 戸長 ― 戸主」という構造で行われ、戸主である家父長が統制の末端的な存在として位置づけられました。このように末端の家々にまで、政府としての統制力を行き届かせるために戸籍制度を中心とした様々な制度を法律化し、封建的な「家父長的家制度」を踏襲したのだと言われており、明治政府が目標とした「富国強兵」の実現のためにこのような統制を図ったと考えられています。つまり、富国強兵の手段として必要な「地租改正」と「徴兵制」の実施を行う上での課題解決のために国民統制が必要となり、国民統制を実現可能にしたのが「家父長的家制度」であると考えられています。

太平洋戦争に敗戦した後、この旧来の制度は昭和22年に「日本国憲法の施行に伴う応急的措置に関する法律」により変更され、平成23年に現行民法が制定されたことにより大転換が図られました。そして、「家督相続の廃止」と「死亡による遺産相続」への一本化が図られることになったのです。

その主な変更点は次の3点です。
  ①配偶者相続権の強化
  ②長子単独相続制から諸子均分相続制へ
  ③祭祀財産の相続財産からの分離

昭和23年の大改正後に、昭和時代には37年と55年に、平成に入り11年と16年に一部改正が行われていますが、昭和37年と昭和57年の改正内容は、特別縁故者制度、配偶者相続分の引上げ、寄与分制度の新設等、重要な内容が盛り込まれていました。

現行制度については、これから順次説明していきますが、相続制度の変遷を良く知った上で、現在では「家督相続」などという封建的な制度は無いということだけでも知っておいて下さい。

たまに、「我が家は何と言おうと長兄に家督相続させる」と言い張る人も存在しますが、戦前に遡って死亡できるようなタイムマシンが無ければ、そのような無理は通りません。

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