コラム

 公開日: 2013-07-29  最終更新日: 2014-07-18

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」

或る日の事でございます。
御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら
お歩きになっていらっしゃいました・・・



もう、みなさまおわかりのことと存じます。
芥川龍之介の「蜘蛛の糸」でございます。
今朝、近くの蓮の田んぼで美しい蓮の花に出会いました。
その瞬間、私はその世界へと引きずりこまれていきました・・・

・・・池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、
そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、何とも云えない
よい匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居ります。



極楽は丁度朝なのでございましょう。
やがて御釈迦様はその池のふちに御佇みになって、
水の面をおおっている蓮の葉の間から、ふと下の容子を
御覧になりました。



この極楽の蓮池の下は、丁度地獄の底に当って居りますから、
水晶のような水を透き徹して、三途の河や針の山の景色が、
丁度、覗き眼鏡を見るように、はっきりと見えるのでございます。



 するとその地獄の底に、カンダタと云う男が一人、
ほかの罪人と一しょにうごめいている姿が、御眼に止まりました。
カンダタと云う男は、人を殺したり家に火をつけたり、いろいろ
悪事を働いた大泥坊でございますが、それでもたった一つ、
善い事を致した覚えがございます。と申しますのは、



ある時この男が深い林の中を通りますと、小さな蜘蛛が一匹、
路ばたを這って行くのが見えました。
そこでカンダタは早速足を挙げて、踏み殺そうと致しましたが、
「いや、いや、これも小さいながら、命のあるものに違いない。
その命を無暗にとると云う事は、いくら何でも可哀そうだ。」と、
こう急に思い返して、とうとうその蜘蛛を殺さずに助けてやったからでございます。



 自分ひとりでさえ切れてしまいそうな細い”蜘蛛の糸”
ですから、沢山の罪人が続いてきたら簡単に切れてしまうと
考えたカンダタは「こら罪人ども、ついてくるな。下りろ。」と
叫びました。 その途端に”蜘蛛の糸”は、カンダタが捕まっているところから 
「ぷつり」と音をたてて切れてしまいました。
そして、カンダタは独楽のようにくるくる回りながら、
元いた地獄へと真っ逆さまに落ちていきました。



御釈迦様は極楽の蓮池のふちに立つて、この一部始終を
ぢつと見ていらつしゃいましたが、やがて
カンダタが血の池の底へ石のように沈んでしまひますと、
悲しさうな御顔をなさりながら、又ぶらぶら御歩きになり始めました。

※芥川龍之介の「蜘蛛の糸」より

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