コラム

 公開日: 2017-05-18 

個人資格職のM&Aによる譲渡対価の課税について

個人事業を廃業する場合に、特に資格が必要な職業(資格独占事業)において、特定の他人に事業を引き継いだうえで、引継に関する対価を受領することがあります。その場合、どのような所得区分となるのでしょうか。検討いたします。

【結論】
事業の引き継ぎにより受け取る対価は、営業権の譲渡収入金額でなく、自己の患者の斡旋による対価と解されており、譲渡所得ではなく、雑所得の収入金額に算入するものと考えられます。

【理由】
譲渡所得は、所得税法に「資産の譲渡による所得」と規定されており、資産の譲渡によって一時に実現する所得で、その資産の保有期間中のキャピタルゲインによる所得をいうものと解されています。
 この譲渡所得の基因となる「資産」は、ほとんどの資産を含む広い概念であり、動産、不動産のほか、特許権、著作権等の無体財産権はもちろん、借家権、営業権や行政官庁の許可、認可、割当等により発生した事実上の権利など一般的にその経済的価値が認められて取引の対象とされ、キャピタルゲインが生じるようなすべての資産を含むものと解されています。
 また、「営業権」の意義については、判例において「営業権とは、当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びにそれらの独占性等を総合した、他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的価値を有する事実関係である」と解されているところです。
そして、通常、資格業では「その資格の保有者なければ、その業務をしてはならない」(業務独占)また「その資格の保有者なければ、その名称を用いてはならない」(名称独占)と規定されており、その業務が一身専属的な業務と考えられており、その地位は当該資格者の死亡や廃業により消滅し、他の資格者がこれを引き継ぐことはできないものと解されるのが通常です。したがって、歯科医業の承継では、超過収益を稼得できる無形の財産的価値を承継できるものではなく、キャピタルゲインが生じるような資産としての営業権を譲渡したとも解することもできませんので、資格業の引き継ぎにより受け取る対価は、自己の顧客の斡旋(紹介)による所得とみて雑所得となるものと思われます。

この記事を書いたプロ

内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所 [ホームページ]

公認会計士 内山瑛

静岡県浜松市中区板屋町521 [地図]
TEL:053-525-9123

  • 問い合わせ

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
アクトタワー近く内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所 所長 内山 瑛氏

5年先まで見据えての資金繰り〜事業計画で起業支援(1/3)

 「自分のお店を持ちたい」「事業で成功したい」と独立開業を夢見ている人は潜在的に多いといわれる一方で、「開業の方法が分からない」という方もまた多いようです。内山瑛さんはそんな方達を応援したいと起業支援に取り組んでいらっしゃいます。 内山さ...

内山瑛プロに相談してみよう!

静岡新聞社 マイベストプロ

会社名 : 内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所
住所 : 静岡県浜松市中区板屋町521 [地図]
TEL : 053-525-9123

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

053-525-9123

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

内山瑛(うちやまあきら)

内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる
プロのおすすめコラム
注文請書と印紙税について

継続的な取引のある仕入先等と、契約書の取り交わしをせず、注文請書をもって契約の成立とし、取引を開始すること...

[ 税金 ]

改めて振り返る「居住用財産の譲渡の特例」(2/2)

今回は、前回の続きとして、「居住用財産の譲渡の特例」のいくつかについて、個別でみていこうと思います。(...

[ 税金 ]

改めて振り返る「居住用財産の譲渡の特例」(1/2)

不動産に関する税には、取得時の不動産取得税や登録免許税、保有時の固定資産税や都市計画税、そして譲渡時の所得...

[ 税金 ]

労基署から指摘された残業代の清算金の取り扱い

昨今、労働基準監督署からの監督が厳しくなっており、指摘に基づき、残業代の清算を行うことがあります。その場合...

[ 税金 ]

不動産所得の必要経費の範囲

 不動産所得の金額を計算する場合には、収入金額(賃貸料など)から必要経費を控除する必要があります。しかし、...

[ 税金 ]

コラム一覧を見る

コラムのテーマ一覧
スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ