コラム

 公開日: 2016-09-11 

いらない不動産を相続放棄する方法

実際に住むことや売却が難しいような不動産であっても、相続人はそれを放置することはできません。

ここでは、不動産の管理責任を終わらせることを含めた、相続放棄の方法を紹介します。

空き家などの諸問題の要因となる、不要な相続不動産の放置

近年、都市部・郊外を問わず、空き家問題が深刻化していると盛んに報道されています。

多くの場合、物件に住んでいた人(被相続人)が亡くなり、そのまま放置されて空き家となったケースなどが見受けられます。

たとえ誰も住まないような条件の物件であっても、その不動産は相続人によって相続されるべき遺産です。

当然のことながら、建物に課せられる固定資産税の支払い義務が、相続人に生じ続けることになります。

「すでに新しい場所に住んでいるので、当該物件に住むことはできない」「老朽化によって売却できない」など、相続人にとっての不利益を生む物件であっても、空き家のまま放置していては庭などが荒れて街の景観を損ねたり、防犯面でも不安を与えたり、さまざまな問題を生じさせることになってしまいます。

相続人は、このようなマイナス面の大きな財産の相続を放棄することは可能です。ただし、相続放棄は都合の悪い部分(この場合、空き家になるはずの物件)だけを切り離して行うことはできません。

プラス面を含めて、「すべての相続を放棄する」ことによってのみ、不要な財産を手放すことができ、固定資産税の支払い義務から逃れることができるのです。

相続放棄された不動産であっても、相続人の誰かが管理する義務を負う

相続財産をすべて放棄することで、名義上では不要な不動産を手放すことが可能です。

しかし相続人が手放したとはいえ、当然のことながら土地や建物は消えてなくなるわけではありません。

それゆえ、相続人全員が相続を放棄した不動産であっても、相続人は「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理」するという義務を負うことが定められています(民法第940条)。

例えば敷地内へのゴミの不法投棄や、建物の倒壊などがないように、相続を放棄した相続人のうちの誰かがが不動産を管理しなければならないのです。

この管理義務は、「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで」(民法第940条)、つまり次に相続の権利を持つ人が管理をはじめるまで継続することになります。

不動産の管理には、膨大な費用や手間がかかります。また、管理を行わないことによって、近隣の住民に何らかの不利益を与えるような場合には、損害賠償責任や刑事責任を問われる可能性すらあります。

とはいえ、本来であれば不要な不動産は売却して手放せれば良いのですが、相続人が「相続したくない」と考えるような物件ですから、これも現実的な手段とは言えません。

相続人の管理義務を終わらせるには、相続財産管理人の選任を

被相続人にそもそも身内がなく、相続人が一人もいない場合を「相続人不存在」の状態にあると呼びます。

法律上は、上記のように相続の権利を持つ人全員が不要な不動産の相続を放棄するような場合も同様に、「相続人不存在」にあると称します。

このような段階においては、相続人に代わって管理を行う人=相続財産管理人を選ぶことができます。

家庭裁判所に対して「相続財産管理人選任の申立て」として選任申立書を提出するという手続きを行うことで、相続財産管理人(弁護士など)に管理責任を引き継がれることになります。

相続放棄によって相続人不存在となった財産は、財団形式の法人となり、相続財産管理人がその法人の管理を行うという形です。

相続財産管理人は、被相続人の債務債権を調査して、不動産に限らず相続に関するさまざまな手続き(清算や返済への充当、余剰金の国庫への返納など)を行うことができます。

不動産においては、「次に管理をはじめる人」が現れた形になるので、継続していた相続人の管理義務がここで終わることとなります。

相続財産管理人による管理でも、少なくない額の負担が必要

相続財産管理人の選任によって、不要な相続不動産の管理義務を手放すことができます。

しかしここで注意しなければならないのは、相続財産管理人の選任および相続財産管理人による管理にも費用がかかるという点です。

選任の手続き自体には、印紙代や切手代など、1万円程度の出費で済みます。ところが、不動産をはじめとする財産の管理そのものには、管理者(この場合、相続財産管理人)の判断による修繕や、委託管理料などが発生する場合があります。この費用は「相続財産管理人選任の申立てをする人」、つまり相続人が捻出しなければならないのです。

ここで、相続人は予納金(手続き費用の確保のため、裁判所が申立人に予め納めさせる金額)を負担することとなります。相続財産の金額にもよりますが、一般的には30~100万円程度とされています。

上記の通り、相続財産管理人は財産の清算(不動産の売却による債権者配当などを含む)を行うことができるので、そこから管理費用をまかなうことは可能です。しかし、清算によっても費用が捻出できないような場合に、予納金が充当されることとなるのです。

この記事を書いたプロ

よつば綜合事務所 [ホームページ]

行政書士 坪内伸太郎

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