コラム

 公開日: 2016-10-14 

空き家対策特別措置法の施行により変わったこと

政府は、増え続けていく空き家の対策に向けて、「空き家対策特別措置法」を施行させました。
この特別措置法によって、強制力を持つ空き家対策が可能となったのです。

周辺への悪影響を減らすための「空き家対策特別措置法」という手段

平成27年5月26日に完全施行された、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称=空き家対策特別措置法。以下同)。

増加の一途をたどる空き家に関する問題は、特別措置法を作って対策にあたるまでに深刻化しているといえます。

そもそも、なぜ空き家対策を行わなければならないのでしょうか。

住居が空き家になることで、周囲にさまざまな悪影響を与えるとされています。建物は、人が住まなくなると手入れをされることがなくなります。そのまま放置すれば、建物は老朽化や腐食が進み、倒壊してしまう可能性があります。
倒壊にまで至らなくとも、各種設備の脱落・破損、屋根や外壁の剥離による部材の飛散などによって、周囲に危険を及ぼすのです。

このほか、不法侵入による犯罪の温床化、放火や自然発火などを含む火災および延焼、ゴミの不法投棄や汚水流出、害獣・害虫の発生による衛生上の問題、景観の破壊といったさまざまな問題が発生し、またこれらが複合的に生じることで、甚大な影響を及ぼしかねないのです。

こうした危険性から市民を守るべく、空き家対策特別措置法の公布・施行という流れとなったのです。

特別措置法の対象となる空き家が増えていく理由とは

5年ごとに行われる総務省の住宅・土地統計調査によると、平成25年現在、日本には約820万戸の空き家があるとされ、全戸数(約6063万戸)のうち13.5%を占めるまでに増加しています。これは、前回調査の平成20年の数字と比べ、空き家率は0.4%増、戸数にして63万戸も増えていることになります。

国立社会保障・人口問題研究所によれば、2019年には日本の世帯数はピークを迎え、徐々に目減りしていくと推計されています。

このような現状にあっても、住宅の需要に対する供給量は過剰気味であり、新築物件を求める傾向が強くなっています。

一方で、高齢者は住んでいた住宅を放棄し、介護施設・高齢者向けマンションなどを求めるようになっています。このような図式によって、それまで住居とされていた物件が中古物件となって余るようになって放置され、空き家はさらに増加傾向にあるとされているのです。

空き家となった住居は価値が大幅に下がり、売却が困難です。売却しやすいように建物を解体して更地にするためには解体費用が必要となるため、実行に移せないケースが多く見受けられます。

また、税制面においても、建物が存在する土地には固定資産税の優遇措置があり、更地にしてしまうだけで納めるべき固定資産税が最大で6倍まで跳ね上がってしまうため、空き家の解体が進まない一因となってしまっているのです。

特別措置法によって行政は、まず特定空き家への助言・指導を行う

施行された空き家対策特別措置法によって、各市町村などの行政側が、地域住民の安全や生活環境を守るため、また空き家(およびその土地)を有効活用するために、さまざまな施策を行えるようになりました。

この法律で規定されている「空き家」とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」を指し、およそ1年以上にわたって放置されているものを「常態」と判断するとされています。

中でも、「特定空き家」と呼ばれる、適切な管理が行われていないことで「倒壊等著しく保安上危険となるおそれ、又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にあり、放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」(抜粋)に対して、行政側は「助言→指導→勧告→命令」という段階的に強制力を持つ適正管理を行えると定められています。行政による特定空き家の立ち入り調査は、拒否することができません。

「助言」「指導」とは、行政側が空き家の状態の是正を図るために、所有者に対して解体や修繕などの適正管理を促すことを指します(「指導」の方が、より重い行政指導)。

行政による空き家への勧告・命令は、高い強制力を持つ

次の行政指導の段階である「勧告」においては、前述した「建物が存在する土地への固定資産税の軽減措置」の対象から外れることになります。つまり、そのまま土地付きの建物(空き家)を所有しているだけで、6倍の固定資産税を払わなければならなくなります。

「勧告」とは、速やかな現状把握と明確な対策を施さなければならないという、非常に深刻な段階にあると捉えることができるでしょう。

所有者が上記の「勧告」にも従わない場合、行政は「命令」によって改善を指示することになります。これは非常に重い行政処分にあたり、「命令」に背くことで50万円以下の過料(罰金)が課せられることになります。

行政代執行により、樹木の伐採や塀の撤去、建物の解体を行うことができるようになります。これらの費用は、空き家の所有者負担です。もし支払い不能の場合は、財産を差し押さえられる場合もあります。

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