コラム

 公開日: 2016-10-18 

空き家のままだと固定資産税が6倍に!?税制変更の背景

住宅の建っている土地を所有している場合、固定資産税は最大1/6にまで軽減される措置があります。

ところが住宅が空き家になることで、減免措置が適用されなくなるケースがあるのです。

土地や建物にかかる固定資産税のさまざまな軽減措置

固定資産を所有していれば、それだけで固定資産税という地方税が課せられることになります。個人にとってほとんどの場合、固定資産とは土地や建物のことであり、マイホーム(もしくは別荘・別宅、賃貸用や事業用の土地・建物)を持っていれば課せられるものと認識して良いでしょう。

固定資産税の税率は全国一律(一部の例外を除く)であり、固定資産税評価額(課税標準額)に対して1.4%が標準税率となります。

ただし、この税率には新築住宅であることや耐震・バリアフリー・省エネなどの改修が行われていることを条件として、税額の1/3~全額減免といった段階のさまざまな軽減措置が施されます。

上記の条件のほかにも「住宅用地特例」と呼ばれる、「住宅が建っている土地=住宅用地」に対する軽減措置があります。その詳細は、小規模住宅(面積200平方メートル以下)に対して税額は1/6に、一般住宅(面積200平方メートルをこえるもの)に対して1/3にまで、土地に課せられる固定資産税が軽減されます。

これは、戦後日本の経済復興を背景として、上昇を続ける地価に対し、急激な税負担の増加を押さえる意味で誕生した特例です。この軽減措置が、住宅建設の促進にも一役買っていると言えるでしょう。

空き家の固定資産税が6倍になる住宅用地特例の適用範囲とは

上述したように住宅用地特例は、その土地に「住宅が建っていること」を条件とした措置です。逆を言えば、「住宅の建っていない土地」、すなわち更地には適用されない特例となります。

相続などで引き継いだ住宅が、例えば亡くなった被相続人のみが住んでいたものであり、相続人はすでに別の場所に住んでいるような場合、相続された住宅は住民のいない建物になります。

本来であれば、相続人がその住宅に移り住む、売却するなど措置を行うべきです。

しかし、相続された住宅は、必然的に古いものになるため、新しい住宅から移り住むような例は少ない上、売却することも容易ではありません。

一方で、建物を解体して更地にすれば住宅用地特例の適用から外れるため、固定資産税の負担が(単純計算で)3倍ないし6倍に跳ね上がって(=標準のまま)しまいます。

こうして、相続人は住宅に解体などの手を施すこともなく、「誰もいない住宅=空き家」がそのまま放置されてしまうことになるのです。

こうした特例に対する実情が、現状で大きな問題となっている「空き家増加」の一因となっているともされます。

空き家問題軽減を目指した「空き家対策特別措置法」で判断されること

総務省の統計によれば、我が国に存在する住居は約6063万戸であり、そのうちで空き家は13.5%、820万戸にも上るとされています。これは、5年前の調査と比較すると8.3%も増加している計算となります(総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」)。

このように深刻化する空き家問題を解消するため、平成27年に「空き家対策特別措置法」が施行されました。

この法律に規定された空き家の定義とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」とあります。何らかの事情により、おおむね1年間以上使用されていない住宅が、空き家と規定されることになります。

この特別措置法において、特に周辺環境に悪影響を及ぼすと行政が判断した空き家に関しては、「特定空家等」と定義されることになります。

その用件とは、放置によって倒壊等著しく保安上の危険・衛生上の有害となるおそれのある状態、もしくは著しく景観を損ねる状態、このほか生活環境の保全を図るために不適切な状態にあることであり、これによって特定空き家に該当すると判断されます。

特定空き家に規定されると、更地と同様に固定資産税が6倍になる

前述の通り、たとえ空き家の状態にあっても、建物が建っている以上は、土地にかかる固定資産税には減免措置が適用されます。

しかし、平成27年の税制改正により、特別措置法による特定空き家に指定されると、その時点で減免措置の適用を外れることになりました。

行政(各市町村長)によって、「周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとること(除却、修繕、立木竹の伐採等)」を勧告されると、住宅用地特例の減免措置が適用されなくなり、固定資産税が3倍ないし6倍になってしまいます。つまり特定空き家を所有している状態と、更地にして所有している状態では、固定資産税額が同じ条件になるのです。

これは、たとえ解体費用がかかったとしても更地にすることで、空き家による周辺環境への悪影響を軽減するとともに、より売買しやすい状態にすることを目的としています。

空き家所有による固定資産税の負担を考慮すると、解体や売却などを積極的に進めるか、少なくとも特定空き家に規定されないよう、きちんと管理することが重要と言えるのです。

この記事を書いたプロ

よつば綜合事務所 [ホームページ]

行政書士 坪内伸太郎

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