コラム

 公開日: 2016-11-08  最終更新日: 2017-04-06

遺産分割協議に期限はある?

遺された財産を相続人が相続するとき、「誰がどれくらいの遺産を受け取るのか」を決める“遺産分割協議”が必要となることがあります。
この協議はいつまでに行うべきなのか、その目安となる期限を解説します。

さまざまな遺産手続きの起点となる「相続の開始」とはいつなのか

遺産の相続とは、いつから始まるものなのでしょうか。

この「相続の開始」というタイミングは、民法によって明確に定められています。「相続される財産を持った人=被相続人」が亡くなったときが「相続の開始」であり、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」(民法第896条)ことになります。

被相続人の死亡や相続に関するさまざまな手続きには、それぞれ期限が設けられていることがありますが、それらはこの「相続の開始」から起算されることになります。

主なものを確認しておきましょう。
まず、死亡届は7日以内に提出しなければなりません。負債やローンなどが多く残っている場合、遺産の相続を放棄することもできますが、これは相続の開始から3ヶ月以内に家庭裁判所への届け出が必要です。これを過ぎると、自動的に相続を承認したとみなされます。

自分が受け取れることを確保されている遺産額(=遺留分)を侵害されているときは、相続の開始から1年以内であれば「遺留分減殺請求」によって取り戻すことができます。

このほか、被相続人の状況によって、4ヶ月以内の準確定申告(被相続人分の所得税の申告)が必要となることもあります。

遺産分割協議に期限はないが、10ヶ月以内に行うのが得策である理由

もう一つの相続に関する期限として、相続税に関するものがあります。

相続した財産が一定額[(3,000万円)+(相続人の人数×600万円)]を超える場合、相続人は相続税を申告して納めなければなりませんが、この申告の期限は相続の開始から10ヶ月以内と定められています。この期間内に申告を行わなかった場合には、無申告加算税(本税の5%又は10%)が課せられてしまいます。

相続税は、相続人全員に対し、それぞれが受け取った金額を元に算出されます。つまり、10ヶ月以内に「誰がどれくらいの遺産を受け取るのか」を確定しなければならないため、相続人全員が合意の下で遺産分割協議を行うこととなります。

実は、この遺産分割協議そのものには、いつまでに行わなければならないという期限はありません。しかし、相続額の確定のために、相続の開始から10ヶ月以内を目処として遺産分割協議を成立させる必要性が生じてくるのです。

仮に遺産分割協議が成立していない場合でも、相続税の申告はこの期限内に行わなければなりません。このケースでは、相続人が法定相続分に基づいて相続を受けたものとして計算されます。

相続税の優遇措置などを受けるためには、遺産分割協議の成立が必要

実は、この「相続の開始から10ヶ月以内」に遺産分割協議を成立させることによって、いくつかのメリットと考えられる点があります。

被相続人の配偶者には、法定相続分、もしくは実際に相続した相続財産のいずれか少ない額については、無税扱いとなる優遇措置があります。

また、小規模宅地(330㎡までのマイホーム用の土地・建物)についても、配偶者や同居していた親族などが住むといった一定の条件の下で、相続税の低減措置が講じられます。

これらの額を確定させるためには、遺産分割協議が必要となります。10ヶ月以内に協議が成立しなければ受けられない恩恵ですが、翻って考えれば申告期限までに遺産分割協議を成立させることで初めて生じるメリットとも言えるのです。

なお、申告期限が経過した後でも、3年以内に遺産分割協議が成立すれば、その内容に応じて修正申告や更正請求を行うこともでき、このメリットを享受することができます。

このほか、農地や事業継承による相続の場合には、納税の猶予が受けられる可能性があります(ただし、こちらは修正申告・更正請求による優遇措置はありません)。

遺産分割協議が不成立でも、決められた相続税は納めなければならない

一方で、遺産分割協議の成立が申告期限を過ぎてしまうことのデメリットとして挙げられるのは、上述したように相続税に関する各種の優遇措置を受けられないことにあります。

加えて、相続額申告の期限は納付の期限でもあります。たとえ遺産分割協議が成立していなかった場合においても、納付期限の経過によって延滞税(14.6%)が課せられるため、注意を要します。

また遺産に不動産が含まれている場合、遺産分割協議が成立していなければ、その不動産は被相続人のまま、もしくは相続人の共同名義となります。
この場合においては不動産の相続登記ができず、売却するためには相続人全員の総意が必要となるため、手続きが煩雑となることもデメリットとして考えられるでしょう。

なお、被相続人と離れて住んでいる、親族間が疎遠であるなどの理由で、被相続人の死亡を知らなかったというケースもあります。この場合、ここまで述べてきた手続き期限の起点となる相続の開始は、「相続の開始を知ったときから」となります。

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