コラム

 公開日: 2016-11-10  最終更新日: 2017-04-06

土地や不動産が含まれていた場合の遺産分割

遺された財産が現金や預貯金であれば簡単に分割できますが、不動産の分割は容易ではありません。
トラブルの要因ともなり得る不動産の上手な分割方法を紹介していきます。

遺産のトラブルは、小額の相続であっても決して無縁ではない

莫大な遺産を相続するとき、相続人の間で争いごとが起きるというのは、ドラマなどでおなじみのパターンです。そう考えると、自分が受け取る遺産がそれほど多くないときなどは、トラブルとは無縁と感じるかも知れません。

一つのデータとして平成25年度の司法統計を見てみると、意外な事実が浮かび上がります。

家庭裁判所が受け付けた遺産分割審判の件数、言い換えれば遺産相続において家庭裁判所が仲裁せざるを得なかったトラブルの件数は、74%が5000万円以下、さらに全体の30%が1000万円以下の小額で争われているのです。

つまり、それほど遺産が多額ではない、いわゆる一般的な家庭においても、遺産相続をめぐるトラブルに無縁とは限らないということが見て取れるのです。

少額でも起こる遺産のトラブル、要因はどこにあるのでしょうか。

亡くなった被相続人の遺言書がなく、現金や預貯金だけを相続する場合、相続の割合は民法に定められた通りの配分(配偶者1/2、子ども1/2など)で容易に分割することができます。

一方で、多くの場合でトラブルの発端となるのが、現金・預貯金以外の、簡潔に分割しづらい不動産が遺産に含まれているケースなのです。

不動産を含む遺産分割においてトラブルがおこる実例

ここで一つの例を挙げ、相続トラブルの構造を見てみましょう。

被相続人(亡くなった人)が父、法定相続人が配偶者である母、および成人している子ども3人(長男・次男・長女)であり、長男は父母と同居、次男・長女は違う場所に住んでいたとします。

父名義の土地建物(=実家)に住んでいれば、その不動産も相続財産となります。法定相続分を考えると、母には1/2の権利があり、子どもは残りの1/2を等分(それぞれ1/6ずつ)した権利を持ちます。

父が亡くなった後、父母と長男が住んでいた実家は、一時的に配偶者である母の名義とすることが一般的です。

不動産の新たな名義人となった母が亡くなったときには、二次相続という形で子ども達に均等に相続されるはずですが、ここで問題が生じます。

相続される実家には長男が住んでいるため、そのまま引き継ぐのが一般的ですが、次男・長女にも相続の権利は発生します。

しかし、既に独立している次男・長女が実家に戻って住むことは考えにくいでしょう。とはいえ、権利としては1/3ずつを有する訳ですから、何も恩恵を受けないというのは本意ではないはずです。
この状態は、あくまでも相続人の一人であるはずの長男が、遺産を独占している状態とも考えられます。

分けにくい不動産を分割するには、その方法を工夫する必要がある

上記は一例ですが、遺産に不動産が含まれていた場合には、似たようなケースが起こりがちです。これが、遺産相続にまつわるトラブルとなるのです。

このトラブルを解消するためには、分けにくい財産であるはずの不動産を改めて分割しなければなりません。現金のように明確に等分にしづらい訳ですから、いくつかの方策を講じる必要があります。

まず考えられるのが、遺産をそのまま分割する現物分割です。土地を等分して所有するほか、不動産以外の遺産があれば、そのままの形で分割(上記の例であれば、不動産は長男、現金は次男、その他は長女に、という形など)するという、シンプルなパターンです。

次に考えられるのが、不動産の全て(あるいは一部)を売却して現金化し、それを均等配分する方法です。これを換価分割と呼び、相続を機に不動産(実家)を処分する際などに有効です。

このほか、不動産を含む全ての遺産を一人(この場合、長男)が相続した上で、分割相当額の対価を残りの相続人(次男・長女)に金銭で支払うという、代償分割という方法もあります。
この場合は一括での支払いが求められるので、長男にはそれなりの経済力が求められることになります。

不動産や相続人各自の状況に応じ、これらを併用することもできます。

さまざまな分割方法を相続人全員の合意による協議で成立させる

このほか、不動産を分割せず、相続人共有の財産として相続する共有分割という方法もあります。

ただしこの方法は、いずれ分割をしなければいけないという事実を先送りしているに過ぎません。どこか早いタイミングで共有状態を解消し、上記の方法を用いて分割することが望ましいと考えられます。

共有の解消も含めて上述したいずれの分割方法を採るにしても、(遺言書による分割の指示がなければ)遺産分割協議という話し合いを持つ必要があります(法的に有効な遺言書があれば、それに従う)。

この協議は、相続人全員が納得することが必須条件です。少なくとも、電話連絡や書面のやり取りなどを通じて合意を得て、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

協議が成立しない場合、家庭裁判所に調停という形で仲裁を求め、それを経ても合意に至らなければ審判を申し立てることになります。

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